博士のたまごのブログ

横浜国立大学の博士課程に進学することに決めた大学院生の日記

理系大学院生が解説する「感覚じゃない」国語~第1回~

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国語が常にできるようになるにはどうすればいいんだろう?

こんな疑問持ったことありませんか?この記事は何回かに分けてこの質問に答えを出すことを目的としています.

国語の偏差値が常に70以上で東大入試の国語で8割とったことだけが長所の,しがない大学院生が解説していきます.

ちょっと長いですが大学受験の国語でも役に立ちますし,大学生でもレポートや論文を書くときに役に立つ情報になるのでぜひ見てみてください!

同じ内容を動画にもしているのでそちらの方がいいという方は良かったらどうぞ.まとめにリンクを貼っておきます.

 

 目次

 

国語力とは 

早速ですが,国語力とは何でしょうか?国語力は,背景知識リテラシー分解できると考えています.リテラシーってマナーとか倫理みたいな意味でつかわれることがありますが,英語の正確な意味は,「読み書き」という意味です.なので当然,背景知識・読解力・記述力が必要ということになります. 

背景知識について

文章は省略で成り立っている

背景知識が必要なのは,文章が省略で成り立ってるからです.書き手になるとすごくわかるんですが,すべてを説明するって無理なんです.主張をするときに,ある程度常識と考えられることは省くんですね.この時省かれる情報のことを背景知識といいます.

例えば「この人は21世紀のアインシュタインです」って書いたときに,アイシュタインを知らない人は???となりますが,知ってる人は大天才って意味ね!と,イメージとともに理解できるんです.この時わざわざアインシュタインは~などと説明はしません.省略することによって伝えたい主張にのみ集中してもらうことができるんですよね.

 

省略量で文章の難易度が変わる

じゃあ,どこまでを前提知識とするかという判断は,書き手がどんな読者層を想定しているか次第です.その想定読者が持つ専門知識の量で省略量は決まります.

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筆者が想定する「読者の知識量」で文章の難易度がかわる

難しい文章の多くは,読者の想定が厳しく,省略が多いものになります.ただ,この辺の知識は国語の文章をたくさん読んだり,歴史・地理など,他の科目を学ぶことで身につくこともあるので,がんばって勉強をしていたらおのずと身につくものだと思います.なので,ここに注力するよりかはリテラシーをきちんと身に着けることをお勧めします.

とにかく背景知識も必要だということは気にしておいてください.

 

リテラシー(Literacy)について

リテラシーは語彙力・文法力・文脈力

リテラシーは語彙力・文法力・文脈力からなっていて,文脈力は,文脈を理解する力と,文脈を作る力の2つに分けられます.(下図参照)

語彙力・文法力・文脈を理解する力が読解力で,語彙力・文法力・構成を作る力が記述力です.この分け方は文章の部品をよく見てみると分かります.

 

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リテラシーは,語彙力,文法力,文脈力で構成される

文章の分解からみた読解力と記述力

文章は,段落が集まってできてますよね.それらの段落って独立しているわけじゃなくて,順番やつながりが必ずあります.これをストーリーといいます.段落は,文と,文のつながり(接続詞など)からできています.さらに分解すると,文は,単語と単語のつながり(てにおは助詞とか語尾)からなります.

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文章を分解!要素は「単語」「単語のつながり」「文のつながり」「ストーリー」になる

結局,「単語」「単語のつながり」「文のつながり」「ストーリー」が分かっていれば文章は理解できて,これらを語彙力,文法力,文脈力と呼びます.

読む場合と書く場合では文脈・ストーリーを理解すると文脈・ストーリーをつくるという違いがあります.

 

「ストーリーを理解する」ことの重要性

意外と見落とされがちだけど大切なのは,この全体の流れ,文脈・ストーリーなんです.文章には必ず1つの伝えたい主張があって,それを支持する段落構成になっています.段落を貫き通す1本の論理がストーリーであり,主張に直結します.1本の論理があるということに気づくことが,国語ができるようになる第一歩です

ちなみに小論文を除いて一般受験で大学を受ける場合は読解力を身に着けるだけで十分です.記述問題であっても,結局「なぜか?」とか「どういうことか?」などストーリーを理解していれば答えられるものばかりなので,受験生はストーリーを理解する訓練を十分にしていれば心配いりません.書く訓練はしてね.

 

ストーリーを理解するために注目すべき2つの要素

全体の流れをどうつかむのか.この方法は2つあります.1つ目は,段落の仕組みを知ること.2つ目は,ディスコースマーカーに注目することです.

段落の仕組みを知る

1つ目について,段落の仕組みってどうなっているかというと,1文目にトピックセンテンス,これはこの段落で言いたいことのまとめで,これが来ます.2文目以降に来るのは,そのトピックセンテンスを支持する理由や具体例が来ます.

こうなっている理由は,結論やまとめが先に来ていると文章が理解しやすくなるからなんです.マジックナンバー7(マジックナンバー3ともいう)という言葉があって,有名な研究なんですが,人間は物事を羅列されたとき覚えていられるのは7つまでで,それ以降は最初に言われたものから忘れていくんです.実はこれを覚えやすくする方法があって,グルーピングするっていう方法なんですね.

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グルーピングで覚えやすくなりませんか?


画像の左側を見てもらうと,これだと羅列されているだけで覚えずらいですよね.これを右側のようにグルーピングすることで段違いに覚えやすくなります.

文章では,理由から始めると,結論が出るまでそれらの理由を覚えていなければならないので,うまく伝わらないことが多いんです.トピックセンテンスでグルーピングすることで,先に結論がきているだけで覚えておく負担が減るので理解が段違いになるんです.

トピックセンテンスを集めると,筆者の言いたいこと結論の大まかなまとめが出来上がります.実は,単純に全体の流れを知りたいだけだったら段落の一文目だけを読めば何となく理解できちゃいます.新聞のななめ読み?とかは多分これですね.

ディスコースマーカーに注意する

2つ目は,ディスコースマーカーです.「つまり」「なぜなら」「しかし」とかですね.ここでは筆者を想像してほしいんですが,つまりを使っているとき,筆者は重要で絶対理解してほしいけど分かりづらいよなってところを言い換えてくれているので,この重要だぞというメッセージを見逃す手はありません.なぜならは後ろに理由がくる,しかしは主張などに反対する内容が来ます.これは,譲歩だったり,比較をすることで,自分の主張に説得力を持たせるために使っています.

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筆者の考えることを想像しよう.つまりを使うときは筆者はこんなことを考えている.

筆者は読者を想像しています.引っかかるところでかつ重要な部分には必ず説明を入れます.2回説明することもあります.キーワードとして何回も登場させることもあります.そういった嗅覚を養いましょう.嗅覚を養うには読者も筆者を想像しましょう.

 

トピックセンテンス実例

ここで少しトピックセンテンスの力を実感してもらいましょう.

以下は2020年のセンター試験本試からの引用です.

この引用でいう「レジリエンス」とは,近年様々な領域で言及されるようになった注目すべき概念である.この言葉は,「かく乱を吸収し,基本的な機能と構造を保持し続けるシステムの能力」を意味する.

 レジリエンスの概念をもう少し詳しく説明しよう.レジリエンスは,もともとは物性科学のなかで物質が元の形状に戻る「弾性」のことを意味する.六〇年代になると生態学自然保護運動の文脈で用いられるようになった.そこでは,生態系が変動と変化に対して自己を維持する過程という意味で使われた.しかし,ここでいう「自己の犠牲」とは単なる物理的な弾力のことではなく,環境の変化に対して動的に応じていく適応力のことである.

 レジリエンスは,回復力(復元力),あるいはサステナビリティと類似の意味合いを持つが,そこにある微妙な意味の違いに注目しなければならない.例えば,回復とはあるベースラインや基準に戻ることを意味するが,レジリエンスでは,必ずしも固定的な原型が想定されていない.絶えず変化する環境に合わせて流動的に自らの姿を変更しつつ,それでも目的を達成するのがレジリエンスである.レジリエンスは,均衡状態に到達するための性質ではなく,発展成長する動的過程を促進するための性質である.

 

トピックセンテンスを抜き出すと

この引用でいう「レジリエンス」とは,近年様々な領域で言及されるようになった注目すべき概念である.レジリエンスは,もともとは物性科学のなかで物質が元の形状に戻る「弾性」のことを意味する.レジリエンスは,回復力(復元力),あるいはサステナビリティと類似の意味合いを持つが,そこにある微妙な意味の違いに注目しなければならない.

よく意味が解りますね!

 

まとめ

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まとめ!

国語力は背景知識と文章力からなります.読むことはストーリーを理解すること(受験はこっちだけでおけー)書くことはストーリーをつくることです.

ストーリーの理解には,段落の仕組みを知ること,ディスコースマーカーに着目(筆者を想像する)ことが重要です.

国語は運だからなーという言い訳からは卒業して常にできるようにしていきましょう!国語が苦手な人にも得意な人にも少しでも役に立ったらうれしいです.

 

動画版はこちら

www.youtube.com